郷古潔

郷古潔

郷古 潔(ごうこ きよし、1882年明治15年)11月13日 - 1961年昭和36年)4月28日)は、日本実業家三菱重工業社長、太平洋戦争時の東條内閣顧問。戦後はA級戦犯として逮捕され、公職追放された。

経歴

地域の教育者であった郷古玉三郎、ゆうの長男として岩手県胆沢郡水沢町水沢市を経て、現・奥州市)不断町にて生まれた。先祖は仙台藩伊達氏の一門である留守家に仕えた藩医盛岡中学校及川古志郎野村胡堂らと同級)、第一高等学校(東京大学教養学部)、東京帝国大学法科大学法律科を経て、1908年8月、三菱合資会社に入社。入社後すぐに九州炭鉱へ転勤を命じられた。後には三菱造船神戸造船、三菱重工、日本航空会社と三菱財閥の各社で勤務。

1941年には三菱重工の社長に就任。1943年東條英機の内閣顧問となるが、三菱の総帥岩崎小彌太に相談せずに決めたため怒りを買い、「三菱人は政治に関与せず」の伝統を破ったとして社長を解任され、閑職の会長に退く。時局の進展にともない次第に戦時体制の戦略的指導者に押しあげられ、大政翼賛会の生産拡充委員長を務め、敗戦直前には軍需省顧問となった。よくドイツクルップ日本の三菱は戦時中に軍需生産の中心だったので「軍需廠(ぐんじゅしょう)」といわれていた。

1945年12月2日連合国軍最高司令官総司令部は日本政府に対し、郷古を逮捕するよう命令(第三次逮捕者59名中の1人)[1]A級戦犯として逮捕され巣鴨刑務所に収監された。 連合国総司令部渉外局は「三菱重工業社長郷古潔氏が東條家に対して現金、株式その他によつて総額一千万円を贈与した」等の調査結果を発表。出所後は公職追放などの処分を受けた。1951年、追放解除後は在京岩手振興協会の会長となる等、財界に復帰し、財界のご意見番となった。

また、1952年から1960年にかけて防衛庁所管の日本兵器工業会(現 日本防衛装備工業会)で初代会長を務めた。

東京において鹿島精一とともに財界人の立場から岩手県人会を盛り立てることにも熱心であった。墓所は青山霊園(1イ2-13)。

脚注

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  1. ^ 梨本宮・平沼・平田ら五十九人に逮捕命令(昭和20年12月4日 毎日新聞(東京))『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p341 毎日コミュニケーションズ刊 1994年

参考文献

  • 岩手日報社編集部『岩手の先人100人』岩手日報社、1987年
  • 菅原昭平『明鏡止水の人 郷古潔』2006年


先代
斯波孝四郎
三菱重工業(旧三菱造船)会長
第5代:1943年 - 1945年
次代
空席
先代
初代
日本兵器工業会会長
初代:1952年 - 1960年
次代
石塚粂蔵
先代
初代
日本航空協会会長
初代:1952年 - 1961年
次代
荘田泰蔵
三菱重工業社長[1][2]
1884年 -
三菱商会(1873年)
- 長崎造船所(1884年)
- 三菱社(1885年)
 - 三菱合資会社(1884年)
- 三菱造船(1917年)
- 三菱重工業(1934年)
1950年 -
東日本重工業(1950年)
- 三菱日本重工業(1951年)
中日本重工業(1950年)
- 新三菱重工業(1951年)
西日本重工業(1950年)
- 三菱造船(1951年)
  • 丹羽周夫(1950年1月)
  • 佐藤尚(1959年5月) -
1964年
三菱重工業
  1. ^ 岩井良太郎『日本コンツェルン全書3:三菱コンツェルン読本』(1937年、春秋社国立国会図書館)、渋沢栄一記念財団『渋沢社史データベース』、野村インベスター・リレーションズ『三菱重工業の歴史』、他。
  2. ^ 1950年までで社長が明らかでないか不在の場合は、三菱財閥総帥もしくは三菱重工業会長、もしくは長崎造船所所長または支配人を含むか、或いは併記する。
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